ビールのキレ、コク、のどごしとは何?注目すべき「グルタミルバリルグリシン」

仕事帰りにビールを一杯なんてことが、
毎日の癒しという方も多いと思います。
私も家に帰り、冷蔵庫を開けると
缶ビールにすぐ手が伸びますが、
缶に「さわやかなキレ」、
「深いコク」、「すっきりのどごし」
などと印刷されています。
あの「キレ」「コク」「のどごし」とは、
いったいどんなものなのかご存知ですか?
Contents
ビールの「キレがある」「キレがない」って何?
まずはビールの「キレ」から。
「キレがある」「キレがない」って、
一体どんな違いのことなんでしょう?
調べてみると、
味がなくなるのが早い(短時間)と
遅い(長時間)に分けられるようです。
つまり、味覚には先味と後味があります。
口の中に食べ物を入れると
味が変わることがありますよね?
ビールで言えば、
飲んだ瞬間は酸味が強いけれど、
あとからじわじわ苦味が出てくるなど
「キレ」というのは、
この後味がどれだけ早く消えているかで表します。
後味が早く消えれば「キレがある」、
後味が残ると「キレがない」。
キレのあるビールはつまり
「後味スッキリ」というわけなんです。
ビールの「コク」って何?
次にビールの「コク」について。
「コク」とは、濃厚感(あつみ)、
持続性、広がり、がある時に
感じられる味わいで、
味、香り、風味、食感など、
いろんな要素が複合的に重なって生じる
味わいであると考えられています。
また最近では「グルタチオン」、
「グルタミルバリルグリシン」などの
「コク味物質」も報告されています。
代表的なコク味物質の一つは、
「グルタチオン」です。
アミノ酸であるグルタミン酸、
システイン、グリシンの3つが
くっついてできたものが「グルタチオン」です。
「グルタチオン」は活性酸素
(酸化ストレス物質)を除去、
体内の有害物質を体外に排出するために
必要な重要な物質です。
このように、体に必要な物質だからこそ、
「コク」のように、
人にとって心地よい味を引き出すんですね。
「グルタミルバリルグリシン」
そして注目すべきなのが
「グルタミルバリルグリシン」です。
「グルタチオン」と同じように3つのアミノ酸が
くっついてできています。
グルタチオンでは真ん中のアミノ酸が
「システイン」ですが、
グルタミルバリルグリシンは
真ん中のアミノ酸が「バリン」になる違いがあります。
グルタミルバリルグリシンは、
醤油などの食品に含まれているのですが、
この物質は「グルタチオン」よりも
強くカルシウム受容体と反応し、
コク味は「グルタチオン」の約10倍あります。
最近、このコク味物質は食品使用が認められましたので、
現在、多くの加工食品にこの
「グルタミルバリルグリシン」が含まれています。
キレとコクを感覚的に説明すると
「コクがある!」ということは、
感覚的に説明すると、
「中味、後味が強め!」ということです。
なおかつ、単一の味ではなく、
複合的な味だと、「コクがある」と
感じやすいと考えられています。
なんか「キレ」と「コク」って
矛盾した要素のような気がしますね。
まとめると、キレは後味、コクは味の総和。
例えば「コクもキレもある」などと言われると
一瞬不思議に感じますが、
「深い味わいだけれども、後味はスッキリ」
と言い換えることができます。
ビールの「のどごし」とは?
最後にビールの「のどごし」についてですが、
「のどごし」とは、
「飲食物がのどを通っていくときの感じ」
と定義されています。普通水分を飲むときは、
いったん口の中に含んでから飲み込みます。
しかし、ビールに限っては口にためず、
喉へ流し込みます。
すると、「苦味」が「のどごし」になるそうです。
のどごしは味ではなく、
喉が刺激を受け取る感覚のようなものなのです。
調べていくうちに、面白い情報を見つけました。
同じくビールをたくさん飲むという印象の国、
ドイツ語や英語にはのどごしと訳せるワードが
無いということです。
つまり、のどごしは日本人独特の感覚だそうです。
まとめ
総括として言えるのは、
「キレ」「コク」「のどごし」なんて、
人間の感覚なので、ごく主観的なものですから
何がどうだなんてはっきり言うことはできないのかもしれまん。
余談ではありますが、TVの実験で、
飲み会でノンアルコールビールを
普通のビールと偽って、
お客さんに提供する企画があっていました。
すると、どうでしょう。
アルコールが入っていないので、
酔うはずのないお客さんが、
酔っぱらい状態になっていました!
雰囲気に酔うとはよく言ったものです。